今日の黄昏そしてまた/無花果
今日も
泣いたあとみたいに
赤かった
叫ぶみたいに
光ってた
黄昏を
また今日も
10年前の私も
これを見て
夕陽だ、なんて
思っていたのだろう
いなくなった先生
新しくきた先生
もうあの先生の名前は呼ばない
いなくなった友達
近いようで遠い心
もうあの子の名前は呼ばない
今日も自分のなかの劣等感と
戦って
今日も完敗
具体的なものなんて
忘れちゃったさ
大好きな人と話して
幸せになった
思い出せば、
ふふ、と
ほほが緩む
混濁したおもいと、
隠れていく光を照らしあわせたら
なんだか
辺りが優しく滲んだ
なにをおもえばいいのか
わからない
混ざりあった感情を
整理できないうちに
すっかり夕陽はくたびれてた
10年後の今日も
きっと
思うのだろう
そして思い出すだろう
意味もなく
夕焼けに沈みこんだこと
意味もなく
たくさんのことを考えたこと
もうそれが、
戻らないということ。
戻る 編 削 Point(2)