最強/竜門勇気
 
秋の暮れに拾った
みにくい木の実を埋める
春まで生きる理由がいるので

秋に木の実を掘り返す
腐った土が湧くばかり

まるで知りあいみたいに
まるで知りあいみたいに
誰かが知りあいみたいに
僕の肩に触れささやいて消える

枯れる木の実を植えるから
朽ちた木の実が湧くんだ
いつか死ぬものから生まれた君が
いつか死ぬように

離せ さわんな 死神は消える


春のはじめに話した
黄色い人と出会った
隣の友人と
代わりばんこに気を失いながら

感情はピストンの火花の如し
窮屈でかたっくるしくて
かったるくて目が回る

まるで知り合いみたいに

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