対/ホロウ・シカエルボク
じくじくと混濁した記憶の僻地を彷徨いながら、砂地に染み込む汗の色はすべて昨日だ、それを砂漠と言うのなら多分そうなのだろう、均等に塗り潰した空白の羅列だ、歩き続けた膝は震えていた、疲労なのか、怯えなのか、どちらとも言えなかった、仙人掌のように林立する適わなかった者たちの適当に切り刻まれたオブジェ、いつまでも滴りながら陳列されている、このあたりには生物は存在しないらしい、これほどの餌が並んでいるのに涎を啜る音ひとつ聞こえてきはしないのだ…
少し隆起したところに俺は腰を下ろした、朝なのか昼なのか夜なのか、明け方なのか暮れ方なのか判らない朦朧とした空、林立する死体、砂…すべて
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