冷たい血のささやき/ホロウ・シカエルボク
降りしだく夜など
しのぐ傘はなく
暗闇にずぶ濡れて
たましいが真黒だ
蓋をされた井戸の底だ
崩落した坑道の中だ
古臭く言えば
丑三つ時というあたり
おれを脅かすのは
おれの根のそのものだ
いつか不様に倒れたときの
取り繕いばかりの
口を閉じて、身を隠せ
漆黒の闇はおまえに似合いだ
地底の生物のように
目を潰した気で居るが良い
思惑で現実を塗り潰すなら
それもまあいいだろうさ
相手にするのが自分自身なら
拍手をするのも自分自身なら
てめえの死と共にすべてが灰になることを
知らない振りして喋り続けるなら
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