二人の遡行者?細川航「ビバーク」/春日線香
しさ」は引き受けなければならないものだ。両側から引かれて「さみしさ」の軋みを感じている詩人。二方向の力の向きに対して、彼はやがて変化を見せる。
君がきみを殺しても枯れない川を僕は夜どおし登って
引き裂かれた「君」と「きみ」の二人の緊張に支えられた言葉の川を、「僕」は登る。川を登るということはそれが流れてきた上流への、詩人の来し方を確かめる遡行の旅なのかもしれない。
そこで彼は鳥を見る。はばたいて飛び去った羽根の中に手紙を見つける。
わすれていたけど僕はこのてがみを好きだった
書いたあとにはしあわせな心地でねむった
「てがみ」の内容は開かれている。
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