旅は続いている/いねむり猫
疾走する風景
旅は 続いている
車窓を流れすぎるのは 人々の暮らしそのものだ
揺れる視界 窓から一瞬香る 早春
行く当てのない旅
居つこうとする心が 飛びすぎる
大きな川を渡る 川面がはね返す光に目が眩む
いつの間にか 陽の光に力が宿っている
窓から飛び込んできた枯葉は、若葉に場所を譲った親葉だ
大きく開けた窓から 青い草の香り
体の力 季節の力が むくむく膨らむ
疾走する風景
ちりじりになった心
ビートの効いたＪポップ
故郷へと 生えかけた根を引きちぎるのか
それとも
大切にＴシャツの奥に丸めて温めておくか
それは旅の心しだいさ
旅は続いている
戻る 編 削 Point(2)