滲む記憶 〔ソネット〕/
ハァモニィベル
滑べり堕ち、砕け散った破片の
あまりにも激しい叫びが
その一瞬の、すべてを
切り裂く。
慌てながら抱きしめた手を
深く、鋭く、切り裂いた、
あの日の、
傷口から
一筋の想いが
滴り、
始める。
熱く滲み出し、谺する痛みが、
止めどない、心臓の記憶とともに、
ジンジンと、悴んだこの手に、濃く蘇る。
戻る
編
削
Point
(1)