なにかが ある 三部作/るるりら
 
ないので 先生はハサミを私の指にあてました
オルガンはある日 鍵盤だけになってました
金槌や鋸で母さんが壊しました/音楽は いまも泣いています



「届かない人」

いーくんのことが好きでした
ぴんぽんだっしゅが 上手でした
かまきりのおなかから なぞの黒い紐をだすのも上手でした

怪我をしたら
いーくんの お母さんが ちりょうをしてくれました
うちの母さんは 唾つけとりぁなおる いうてましたのに
じょうりゅうな ひととして てあてということをしてくれました

いーくんは ある日
とおく 行きました
えいえんに、 わたしは いーくんのことが好きだと思いました
いまも いーくんのことが好きなんだとは思うけれど

いーくんの お母さんが ゆびに まいてくれた
絆創膏のことしか おもいだせないのは
なぜでしょう

**************
メビウスリングさんの企画 http:// mb2.jp/ _aria/8 44.html

戻る   Point(15)