女郎蜘蛛/
草野春心
女郎蜘蛛がさっきから 私の大脳に巣をはっているようだ
縞模様の尻をふりふりさせて 時折転げ落ちそうになりながら
東からの弱い風に レースのカーテンが波立ち
椅子に座っていたはずの女は それをしおにドアの方へと足を向けた
沈黙の間に言葉があるのか それとも言葉の合間に沈黙が縫いこまれているのか
私の躯には無数の骨があるといつか何処かで学んだと記憶している
その一つだけでも 目の前に差し出してくれる者があればいいのだが
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