種/葉leaf
ぎっしりとデスクの並んだ職場で、社員たちは互いに協力しながらてんでに仕事をしていた。データを入力したり、書類を作成したり、文書を印刷したり、メールを確認したり、同僚と打ち合わせたり。私は職場に配属されたばかり、ミスをしては指摘され、少しずつ正しい仕事の仕方を学んでいるところだった。まだ社員たちがどういう人かもわかっていず、漠然とした不安を抱きながら、やることに自信が持てずに、きわめて不安定でありながら硬直的に仕事をこなしていた。社員たちの機械的な手際と動きは、乱れることを知らないかのような人工的な秩序を形成していた。
そのとき、窓の外に大きな虹がかかった。中年の女性の係員が虹の存
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