ミルクときみの春/草野春心
 


  あたたかいミルクを 絨毯にこぼしてしまった日
  きみはゆっくりと愛していた
  町を、陽の光を、そでの長い服を



  きゅうくつなかなしみが胸を染める
  言葉にできないものたちがぼくの言葉をとらえ、
  ひとつずつかたちを変えてしまう
  春はまだ
  さいごの色が
  塗られる前のひととき



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