春のかなしみ 〔ソネット〕/
ハァモニィベル
冬の雪よりも深い、春のかなしみを
憂えるあまり、咆哮も彷徨もせずに、
ただ、ひとり揺り椅子に眠っていたのに、
彼女はとつぜん、
頁をめくるように、
眠りから解かれた。
カーテンの向こうを
通りすぎてゆく朝、
陽だまりを
憎むほどの
午後、
タマネギを
見つめてしまうほどの夜
しか、ないというのに。
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