分け入っても分け入っても青い山/yo-yo
 
に男のホームレスに奪われたままだ。
彼は夕方になると、家路を急ぐようにしてそこへ帰ってくる。
はじめはリュックひとつだけだったのに、いまでは3個の大きな荷物を背負って戻ってくる。昼間の行動は皆目わからないが、彼には彼の生活パターンがあるようだ。

公園ではいつも、ぼくは手ぶらだ。
ポケットには万歩計がある。ほとんどいつも歩く行程は同じだから、万歩計は時計がわりにすぎない。
周りでは、すばやく駆けぬけていくものたちがいる。かれらはマラソン選手のように、スタートとゴールがあるみたいだ。
ぼくは片足けんけんをして、古い耳の水をだす。
万歩計をすて、青い山のつづきを追いかける。
歩いても歩いても、拾っても捨てても、重くもならず軽くもならず、荷物が増えることはない。
それらは山そのものだったり、庭そのものだったりするからだ。

きょうは青い空をひろった。






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