分け入っても分け入っても青い山/yo-yo
公園のベンチにすわって深呼吸をする。
遠くに青い山が見える。山はいつも見る風景の中に、変わらずにある。
おじいさんにもらった山である。
というのは真実ではない。
自分の詩の中で、自分勝手に自分のものにした山にすぎない。
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた
わしには何もないよって
あん山を
おまえにやるよ
そんな山だ。
引き寄せることも、手に取ることもできない。だから厳然として安泰で、いつもそこにある。遠くにあるが近い。
いつのまにか公園も、ぼくの庭になった。庭は近くにあるが遠い。
公園で、ぼくが息継ぎをしていた石のベンチは、3年前に男
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