On The Road Again ( new classics )/ホロウ・シカエルボク
ぼくら、たがいに言葉もなく
薄っすらと曇った空のした
だだっ広い荒野を切り裂くような
一本の道を歩き続けた
おんぼろの靴がいつまでもつかと心配だったけど
気にしたところでどうしようもないことだった
時々しか電波をキャッチ出来ないポータブル・ラジオからは
倒れそうなブライアン・ウィルソンが聞こえていた
「ねえ、いま何時かしら」ときみが言うので
ぼくはポケットの懐中時計を開いて時間を見た
「一時半を回ったとこだ」ぼくがそう言うときみは鼻を鳴らした
「お腹が空くわけだわ」
どういうわけかぼくはそんなふうには感じなかった、でもきみの機嫌を損ねるのは避けたかっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)