涙の薔薇/游月 昭
捧げる
俺の赤い血を
君の白い肌に
黒い眼に映った俺の姿の奥で
快楽にまみれたさもしい影が
俺を嘲笑っている
どれだけ繕おうと
全てを見透かして
どこまでも俺を追ってくる
影は君に耳打ちする
あいつは穢れた野郎
と
君の肩を強くゆさぶる俺の手から
鋭い棘が無数に這えている
俺が離したその手で顔を覆い
血だらけの顔を君に見せたとき
君は変わらぬ顔で、
少しうつむいて、
血に染まりかけた涙を見せながら
そして
後ろを向いて
小さくなって
消えていく
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