ホローキャンディ/比良末潮里
足を洗った後の石鹸の香り漂うシャワールームで、水色のモザイクタイルが涙した。
清廉潔白なものに憧憬の念を抱いて、祈り続けるけれど、人が愚かで汚いことは百も承知。
これからも、多分同じ。
神様には、なれない。
ビー玉キャンディ、飴玉舐めた。
ただ、唾液のみが溢れてくるひもじい口腔内。
空想でお腹を満たしたい。
だから、少女は受胎告知に瞳を潤ませる。
コウノトリが運ぶのは、本当はお魚。
だけど、ベイビーを待ってる。
もう、あれから何十年かしら?
ママが腕を組んで、眉を上げる。
「早くなさいな」。
たくさんの年老いた少女たちが、マ
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