時の花/
游月 昭
愛の言葉は種のようで
堅くて食べられない
と天袋に投げ入れた少年
時を隔てた小さな箱で雨もりに悩むころ
忘れていた、遠い時の種が芽をふく
愛を包んだあのひとはもう居ない
引き戸を開けて顔をだす面影
体に優しく根をはっていく言葉たちに
思い出の白い花がひっそりと咲く
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