ねごと/カンノユウヤ
 
計算尺からこぼれた泥のにおいで
ぼくはいつも寝不足です
よどんだ街灯に殴られた両目を
どうやって隠そうか毎日必死

(ねごとは寝て言えと
(どやされた日はいつも
(近所のどぶ川でカワニナを拾った
(奴らがあまりにいとおしくて
(生物学者になりたいと叫んでた

知らない便りがポストを叩いて
夜中の3時に目が覚めます
「あと少し」と書かれた便箋を
送り返すことばも持っていない
積もり積もったそいつらでできた
ぼくの部屋の固いベッド

(やっと寝れたのに
(やっと寝れたのに
(やっとそう書いてやったら
(びっくりするほど泣けてきた
(涙は全身からあふれてきては
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