籠の中/比良末潮里
 

やさしさというのは
残酷に降ってくる
ベッタリ濡れた髪で手で
深い湖につかまれて
?がくほどに足を取られる

いつか飛びたい羽根までもが
「お外は怖い」
と手折られた

鳥たちは
かごのなか
どうしようもない
無力さで
死んだ目をして
違う世界の空想を始めた

不愉快で安全な場所
奪われたのは
なんだったのか?
その記憶すら曖昧で

なくことも叶わない

ただ胸の辺りだけが
やけにしくしくする

夕陽が爛れる
雲が紅を落とす

楽しみは
眠ることだけ

夜は更けゆく
目を瞑るだけ

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