老人と水鳥/游月 昭
 
ていた葉は一斉に舞い上がり
曲線を描きながら枝を追う

空高くから水鳥の群れが飛来し
雲が羽根に掻き分けられるように開く
陽が差しはじめ
湖面の水鳥は歓喜の声を上げる

群れが次々に降り立つと
水面にさざ波が立ち
無数の光が生まれた



老人は大木の根もとに枝を差し
深く一礼をして振りかえり
水鳥をみつめていた

しばらくの後
老人はふたたび腰を曲げ
森の小路へと入っていった




戻る   Point(1)