帰る家がない/第2の地球
 

帰る家がない ほんとうに帰る家がない
廊下しかない 部屋がない 電気が点かない
真っ暗な廊下しかない 歩いていても帰れない
帰る家ではない
動物が居る 百万匹居る
五月蝿くて仕方ない
一日中啼いている 空気も薄くなる
餌も足りていない どうしようにもどうしようもできない
帰る家ではない
家が透き通る 家が漂う 家が薄ら笑う
これらの家はほんとうに帰る家ではない
次から次へと家はやってくる
一つのある理想的な家が消え入る頃
また新しいある象徴的な家が浮き出すこともある
そんなことが時折あるものだから
ほんとうに帰る家がわからない
優しい家もたまに来る
ここが家なのかと思おうともする
でも追いかけているのが夢か
追いかけられているのが夢か
その真ん中が夢か
三重の夢の囲いの中
帰る家がない いつもない
父も居た 母も居た 弟も居た
友達も居た 恋人も居た
なのに家がない
あちらこちらを思い返してもやはりない
いつもない
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