めまぐるしくも/ただのみきや
 
矢=えりや}は練習しなかった
まだ玩具のブーブーにまたがっていた頃
倒れて 回復することもなく逝ってしまった
この先 孫でもできたなら
また練習を手伝うだろうか
たぶん そんなことはないのだろう
繰り返される春は記憶と入り交じり
喜びも悲しみも入り交じり
成す術もなく夢のように 人生は
北国の春のめまぐるしさに似ている

新一年生たちが帰って来た
色とりどりのランドセルが花びらのよう
陽射しの中を吹き抜けて往く

桜はまだ タンポポも



  《めまぐるしくも:2014年4月24日》








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