アグネシュカ 夜明けの森/石瀬琳々
いいえどこか遠い湖の底で )
橋を渡るとあなたが待っている
アグネシュカ 青い瞳にわたしの湖が映る
揺れる長い髪にくちびるを寄せて
わたしはもうひとりのわたしを抱きしめる
あなたをずっと夢見ていた
アグネシュカ 夜明けがもうすぐやってくる
あなたとわたしがひとつになるように
どうか白い指をからめて
あなたに導かれて 夜明けの森を夢見た
森は眼前にひらかれる 翼をひろげた鳥として
ふいに飛び立つ空はすみれいろ
(どこかで鐘が鳴り響く 耳の奥で
いいえどこか遠い湖の底で)
あなたのためにわたしを生きている
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