HHM2講評/香瀬
奏である。そんな比喩をきいたことがあります。書き込まれている音符どおりに演奏すること、書き込まれていない音符を追加して演奏すること。魅力的な演奏がどういったものかというのとは別に、作品内に書き込まれていることを丹念に読み解いていこうとする態度は、作品に対する真摯な姿勢だとおもいます。
本作の批評対象「母乳」(ちんすこうりな)における語り手の位置はまったくの空白であるかのように見える。「平らな胸」とはなんであろうか、なぜ「母乳」かどうか質問したのだろうか。いくつかの疑問点は取っ掛かりとなり、この詩を読解する上でのヒントとなっていきます。深水氏は本作の読解を、多数派と少数派という視点、登場人物とガ
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