刹那/
游月 昭
滑らかな曲面を
月明かりが遠浅の影で濡らし
吹き寄せる潮風は甘い薫りをはらんで
かすかに震えるさえずりと共に
紅潮した私の耳をかすめる
青い石をうずめていた筈の砂を
しだいに満ちた凪の海がさらう
長い時の流れに研かれた石に
やわらかく映りこむ炎を燃やし
今、遥かな星空の隅で
密かにまたたいている
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