コウフクノモノサシ/ただのみきや
 
今夜ぬかるみそうですね
まだちょっと震えていて
瞳は亀裂して手招くのです
梢に掛ったビニール袋の
違和としての惨めさの中へ
眠りは逃げた僕から逆行した

福寿草のように笑う
気の早い毒でした
渡り鳥だったのか
渡りを夢見ただけだったのか
飴で舌を切るような
潤う痛みの繁殖地で
羽がどんどん抜け落ちて
ついには自分で引き裂いて
ああ紅梅白梅一面の 

あなた眠れますか?
月はコップに浸りながら
春画のような二人がハタハタと
破れ晴れるの夢が再々
狐狸狐狸と忘れましょう
救命しているのよ自分を
愛の骨片や優しさのヤジリがギザギザ
腑抜けずに化膿して

[次のページ]
戻る   Point(18)