赤い月の電車/るるりら
 
今宵の月は、燃えている
爆発を反復するプロミネンス
立ち上がる火柱に 閉じ込められている一車両の電車が
あらゆる過去と あらゆる未来の間で ゆれている

ゆくえも、ゆきさきも
よく、もえて
それでも落ちずに 
落ちそうで落ちないで
やじろべいのように宙に浮いて揺れている
その様子は
信仰を集めている岩石のように神々しい
その車体は飴色に輝き ゼロを走りながら揺れている

あの電車の乗客は 年をとらず
時より扉が開閉されるたびに爆発の熱気に煽られても
車内の人々は すこしも動じない
心が屈折している 時空すら屈折している
人としての心が 地球の影に完全に隠れ、満月
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