繋がる赤い糸/ハァモニィベル
フェラーリのような女が颯爽と乗込んで来た時、電車内は満席だった。
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女は、妙に似合う黄色の吊革を掴んで立ったまま、彼女よりちょっと薄紅がかった、シャア専用といった感じの、携帯電話を取り出すと、当然のように眺めはじめた。すると、彼女の鮮やかな色以外は、まったく周囲の習俗に溶け込んで見えなくなる。手にしているその枠の中にしか世界が無いかのように。
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女は携帯で小説のつづきを読みはじめた。話題のベストセラー作家、退紅一斤(あらぞめいっこん)のミステリ小説『猩々緋の迷宮』だった。その中で、死体の傍に置かれた謎の暗号文が出てくる例の箇所をじっと見ている。
朽葉は
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