とある魔人の手記/最都 優
「とある魔人の手記」
疑問を三回かいて沈めた
真っ赤な液体が入った小瓶の中で
僕は
溶けていくのを眺めていた
どれぐらいの劇薬になっただろう?
世の中で思い付く限りの毒を
紙に書いて沈めている
そんな作業を繰り返してきた
これを飲ませれば
どんな首脳でも
チャンスに強いヒッターでも
笑って済ませてしまう芸能人でも
侵されて
無気力人間になってしまうだろう
最初は一握りの血であった
それが
1つ1つと
紙をちぎり
入れるたびに溢れるほどの
劇薬に変わってしまった
不満
つらい
詰まらない
変だね
嫌い
嫌い
幸せ
僕は、誰?
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