ten times or more/凛々椿
く伸びるさまに気づかなかった
僕はもてなし働くので土日祝のさまを知らなかった
そうだ、休日とは元来こうなのだ!
休日を大勢と共有する、楽しむ、はしゃぐ、そして……
世の中をずっと遠くに感じている
人と交わり難い現実に悲しく感動もしている まるで自慰のよう
でも さ
"For she's lived it ten times or more"
目を真っ青に塗ってしまったDavid Bowieですら
退屈をそう優しく歌ったのだから
隔たりを憂いながらかぶりついたタコスの具を膝頭にこぼすぐらい
なんてことないんだ
いいんだ
なんてことを思いながら でも、口の中はチレの辛みでみたされていて
なんだか……
なんだか全然 "David"って感じじゃないや、って
跳ね笑う
そう 僕はいま 土曜日に存在している!
たまには許されていい、と
ふつうを内に孕ませながら 浮き足立つ僕をも包括してくれる
すこし不器用な
あいかなわぬ秘色の空のもと で
存在に、恋をしている
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