約束を失くした/にかほ あや
 
夢の中で交わした約束
星空とだったか きつねとだったか
彼は言った

「記憶だけは大切にね」
「思い出だけは忘れないで」





朝を迎えたら
憶えていたいたのは
記憶でも 思い出でもなく
約束の言葉のみ
大きな 大きな失くしものをしたようで
心の中にできた 悲しみの水たまりから
抜け出せずにいる


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