かくも愛すべき水底の。/ホロウ・シカエルボク
 
え呑み過ぎていたというのに…何人かの人間が海に飛び込んだ、駄目だよ、と俺は呟いた、まずは水面を照らさなくちゃ…当たりをつけて、それから目指さなくちゃ…!闇雲に泳いだところで見つかりっこないさ、見つけたとしても引き上げられないさ、だいたい、落ちた時点で手遅れかもしれないじゃないか。アルコールやら高揚感やらのせいで、心臓麻痺を起こして即効沈んじまってるかもしれないんだぜ…沈んでしまったのなら潜水士を呼ばなくちゃ。手段をたくさん持たなくちゃ駄目だよ、イデオロギーだけじゃ掴めないものなんてこの世には山ほどあるんだぜ…五人飛び込んだうちの二人が溺れた、あいつらを助けるためにあと何人が飛び込むのだろう?ホリデ
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