熊が倒れた!/海人一翔
 
佳乃は久良木の防寒着を後ろから引っ張った。
ガチャり・・・
その瞬間にサブレッサー付P226ピストルが草むらに落ちた。
「いけねえ!」
久良木は、冷やりと苦笑いを浮かべた。
不意のアタックに備えて、デコッキングレバーを落としていなっかったのだ。
久良木は、彼女に気がつかれないようにP226を拾い上げると、右ポケットに突っ込んだまま、佳乃の手をいきなり引っ張った。
ふくよかな女の細い指先のマニュクアの爪が掌に喰いこんできた。
彼は、周囲の丘のどこからか、誰かに監視されているような気がしていた。
しかし、二人の男女が笹の葉の茂みに隠れるには、格好の地の利があった。







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