一つの細胞が死んだ/汰介
 

さて、そろそろいいか?
やっと俺自身の時間だ、と彼(仮称)は言った

彼(仮称)の背後にはどうだ、と言うんばかりの極度に圧縮された高気圧と言うべき物が、言うべき物が!

にゅるん

にゅるん

彼(仮称)は、にやり、と笑って言った

ねえ、言葉が最初にあったとしたら、
言葉が例えば幸せに浸っている世界があるのかな?

それもこの体があるからそう感じるの?
体があるから言葉を実感しなければいけないの?

だとすれば言葉だけの世界って実感できないのかな?


嘘さ

体は確かに甘美な物を感じてるしかし
言葉はそれを押し留めてるよ


だって当り前だよ

光を浴びてしまった言葉なんか
体にとっては死に目さ


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