白い松明(ひとつの救い)/信天翁
 
 寂びれきった家並みに囲まれながら
ぽかんと口をあけている 原っぱから
      一角を揺すらんばかりに
     こどもの喚声がこだまする
            それは──  
閻魔大王におののいている 老残には
     奇妙にも癒しにひびくのだ
            それが──
短い余命の得難い慰めともとれるのだ
   かりに冬将軍が威張っていても
    たとえ雪雲が挑発してきても
         なぁんだ・・・・  
       広場の隅の一坪花壇も
     ほころんでいるぢゃないか
 おいで おいで と手招きさえして
 
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