手紙/末下りょう
 
かけてくる者は誰もいないから
ふたりの手のひらの運命線が
重なり合い、燃えるような
鷲座が輝く
季節に


そしてそれは常に突然に書き出される手紙であり
助走もなく書き出された一行を 、
つぎの一行が連れ去る
悪びれることなく
きみは見通しなど気にせずに
起こるべくして起こることをただ認めながら
それがきみ自身の物語だったことを通り過ぎてから知る
目の端にわずかに捉えられたものをたずさえて


いつかすべてのことが明確になったような一行で書き出される手紙を
ぼくはきみに渡したい
それを読むきみの顔が、
そこから少しずつ消えてなくなってしまうとしても



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