時計の音を愛する/黒髪
 
長い計算をする僕
徒労は計算の中にはない(それは完全に充実した行為であるから)
時計の歯車の噛み合い方
キチリキチリと回っている
車の列が止まらないような信号の変わり方
青黄赤
あの娘の通る道でわざとらしくなく出会っておはようを言えるタイミング
あくびは終えてから行かねばならぬ
すべてに必要なのは計算なんだ
君もしてみたら
計算の終わるところには強い西日が射している
西日の眩しさに目を細め僕は横たわる
誰にも言わなかった僕の願いが時計の中からカチカチとあふれだす
計算は終わったか?

物事のメッセージを受け取る僕
照り返しに服がだめになってしまうということ
海で魚
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