感謝しても感謝しきれない/ichirou
 
りしめ、インクメーカーに向かった。
翌日容器の印刷は成功した。
その日の夜、私はYさんにお礼の電話をした。
するとYさんは、
「○○さん!あなたは何をおっしゃっているのですか!
そんな事私がするわけないじゃないですか!
変な言いがかりをつけないでください!」
Yさんに叱られ、私は自分のデリカシーの無さを恥じた。

私はお礼を言うのを待った。
Yさんが定年退職するまで
20年も待たなければならなかった。

昨年Yさんが定年退職された。

居酒屋で
私はインクの組成のことをYさんにお礼を言うと、
Yさんは
「覚えてないな〜 ○○さんの勘違いじゃないの。」
と相変わらず知らぬ顔。

私は酔いつぶれてもお礼を言い続けた。

Yさんは私に自分の上着をかけて、
朝まで私につきあってくれた。




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