花に嵐/ユッカ
 
豪勢な夜空に見とれたまま
そこで立ち尽くしていたいのに
手を伸ばしながら、もう歩いてしまっている

夜を燃やしてくれてありがとう
そのふかふかの
つやつやの
枝のひとつにうずもれて
しずかに瞳を閉じてみたい

そうしたらなにか、
やさしいことを思いつく気がするから



てのひらを開いて、
ゆびさきでつまんで、
丁寧にすくいとろうとするのに
ほころびた糸のひとつひとつが
余計な感情と手をつないでいるから
わたしは言葉をなくしてばかりだ
まったくもって、使い物にならない体で困る
いつになったら言えるんだろう
世界でいちばん重要な瞬間に
練習なしで気づきたい

芽生えたら焦がれて
咲いたら咲いたで恋しいから
絶望ばかりが上手くなる
それでも
花が咲いたくらいで喜んでいられるうちは
せいぜい苦しんで生きていくから
なにも心配しなくていい

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