ナオミから もう一人のナオミへの手紙/オダ カズヒコ
 
で見境なく一本丸ごと
ぺロっと皮でももぐように食べちゃうような
女ったらし・・

いいっ?
成田に着いて
青いパパイヤのスーツケースの
背の高い
陽にやけたサングラスの
ハンサムな青年をみつけたら彼よ

軽く目でお辞儀して
黙って彼の後に ついていきなさい
パークハイアットホテルのスィート・ルームが
彼の部屋

ブラウスはなるべく 清楚な感じのものを着ていくこと
スカートのミ二とかは 絶対にダメ
それに生足も
トートバックと口紅も
落ち着いた色を選ぶこと

あした
あたしたちの彼が
あなたを誘拐しにやってくるから

そしてきっとそれは何かの伝言のように
わたしたちの“事件”が
夜のTVニュースを賑わすはずよ

思いきり力をこめて言います
最近 コンパニオンの仕事を増やしているようだけど
もうそろそろ
よい年齢なんだし
それに明日からあんたは 彼の人質



ナオミから もう一人のナオミへ 

                 かしこ


※追伸 


そして彼も わたしたちの人質
戻る   Point(2)