刃/opus
親指を包丁の刃に押し付ける。
すっと傷がつき、たらと血が垂れる。
ポタポタと音をたてながら廊下を渡る。
ポタポタ、ポタポタ、ポタポタ。
尾を引く血痕。
流れる血。
親指はジンジンと痛む。
顔からすっと血の気が引く。
あなたはそれを見て、
もの凄い勢いで私を追いかけ、
捕まえた途端、
頬をうつ。
そして、
あなたを見つめていると、
君は病気だと。
私は狂おしくて狂おしくて、
一層のこと死んでしまいたいと
言うと、
また、頬をうつ。
でも、私を見るその目は
変にギラギラしていて、
笑みがこぼれてしまう。
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