【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
、その祈りは天に届かず地に落ちる。……って、きりもなく思いつくけど。
友人:そもそも「天に届かず地に落ちる」とか換言してみたところで、この詩は「天地」に生死とか是非とか善悪とかの二元論を当て込んでないわけで。
澤:多義性のためあの手この手が尽くされて、まさに「中庸」としか言いようのない印象。
友人:その中庸を崩すのが、たとえば集約癖の読解ってわけだ。生とか死とかの一面的な一義では定義も結論もできない命が、「命名」されると【くだけちったまま、魂削る】(4章)というあざやかな形容矛盾。
澤:世界は無常で無我の色即是空だっていう思想を受け容れられれば、箴言だね。
友人:ん。わたし
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