【HHM2参加作品】舌平目のムルソー(suigyo)を散瞳する/澤あづさ
他我へ歪曲させるほど高い眼圧で自我を【俯瞰】(1章)している。
【友人】が(ひいては【私】も)【影たち】と同じように【墨のように真っ黒】なのは、瞳孔(ひいては見解の「穴」)だからだが、文脈から推測できる理由はそれだけではない。かれは2章で焼かれる【くちなし】の焼け焦げた炭でもあり、日記帳を汚す【インク】(記憶)もあるだろう。
そして3章で【私が殺した人々】のひとりでもあるのだろう。
語り手の両眼は寸断されている。直視し合わない両眼の交錯する摩擦が、2章で視線の「焦点」となる。
先述したように、この詩に表れる【影】は、すべからく語り手の「投影」だ。
このことは、1章の終盤で
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