【HHM2参加作品】「旅立つということについて」小林青ヰ/そらの珊瑚
よって生きていくために、自らの手で自らのくびにあらなわをまく。
とすれば、この詩の根底にある生きることへの不条理感というものがあらためて強くたちのぼる。
けれども絶望や悲観はもちろん匂わせてはいるが、旅立ちの日、つまり自分が何者であるのかを知るであろう日は『あさひの昇る日』なのだ。
生きるということの意味、そんなものは最初からなくて、ただ生きているという現実だけが在るのかもしれない。
そこに命というものへの絶対的な肯定、のようなものを感じるのは私だけであろうか。(敬称略)
※「異邦人」カミュ(窪田啓作 訳・新潮文庫)より引用
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