ホテル ハット・ウォールデン/鵜飼千代子
 




ホテルの窓辺が大好きなので
窓の外を見ながら
両手のひらをじっと見る

ネイルアートなどする隙のない
生活の手だ



「お夕食のお時間です。」

フロントから電話が来るまで
至福の時の窓際族を楽しむ
背中には安心がある

レストラン ネストに行ったら
あらかじめ
「半分にしてください」と
お願いしていた
楽しみのディナーをいただくのだ

「食べ残す」ことへの恐怖を受け入れてくれた
レストラン ネストで



ハット・ウォールデンの階段を駆け上がり
「ただいま〜」と
チェックインするのがとても好きだった

こころはいつも この窓辺に戻る






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