ある忠告/山部 佳
 
きみが必要とされる理由がある
文句も言わずに黙々と働く
周りの人間にいつも親切である
トイレが詰まっても
餅で年寄りの喉が詰まっても
ささっと器用に処置してくれる
つまり
いろいろと便利である
からだ

風評はきみを大変いい人だと告げている
状況はきみに満足を与えている
しかし
忠告しておくが
きみはそれが本当の自分であると思わないほうがいい
そう思うことが習い性になってしまうと
きみはきみ以外の周辺に依存することになる
便利であるかどうかはきみが決めることではなく
周りの人間が決めることだから
それに依存して胡坐をかいていると
便利でなくなったと審判された
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