覚醒五分前/
 
まだ夏という季節が
迷いのない子ども
(のよう)だった頃の
残り香だけを頼りにして
つりがね草の
茎の中を歩けば
規則正しい配列の褥で
寝返りをうつ命たち
不完全な器を抱え
危ういバランスで
境界線を覗きこむと
絶妙なタイミングで
闇に突き立てられる触角
どこからか始まりの音
呼応する無数の発芽
待ち遠しい匂いがする
共鳴の日
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