冬と隔たり/木立 悟
 




倒木と流木が
花に持ち上げられ
何処かへと運び去られてゆく
音の泡が
幾つか土に残される


午後の弔い
水に沈む花
土の上の金
踏みしめる 踏みしめる音


空にあいた穴に
曇は揉み込まれてゆく
三つの太陽が騒がしく
ぐるぐると地を照らし消えてゆく


夜を映した器があふれ
聞こえないうたを放ち出す
地に繋がれたものの息
角を曲がり 陰を濡らす


鳥のような夜の声
水の径を歩きゆく
水が亀裂に呑まれた後も
足跡は淡くかがやいている


かさかさと垂れ下がる羽のあつまり
流れ星を追いかける子の乱れ髪
夜の通りに満ち
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