友達とカラオケで歌っていた頃/番田
誰もいない海に立ちつくしている時
去年の思い出を思い出している僕は
誰のためだろうということを思い描いていて
何のためなのかと腕を組んで考えていた
昔ここには来たことがあるとテトラを横目に
当時僕は外回りの営業だったことを思い起こす
ローファーが踏みしめる砂の向こうに見えたものは
何もない砂浜の朽ちかけた観察所だけ
色々なことが
整理されて
今目の前にあるのは
浜風だけ
やがて僕はライトをつけてドアのロックを押し込んだ
アクセルを踏みながらクロレッツのガムをかんで
元来た街に続く道の街灯を流れていく
月曜日の朝へ向かって脇目もふらずに帰って行く
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